大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

宇都宮地方裁判所 昭和45年(わ)104号 判決 1970年10月23日

本店所在地

栃木市平柳町一丁目三番二二号

有限会社

加藤虎之助商店

右代表者代表取締役

加藤静男

本籍

栃木市平柳町二八一番地

住居

同市今泉町一丁目七四番三七号

会社役員

加藤静男

大正一二年一月八日生

右の者らに対する法人税法違反被告事件について当裁判所は検察官今井良児出席のうえ審理し次のとおり判決する

主文

被告会社(有限会社加藤虎之助商店)を罰金一〇、〇〇〇、〇〇〇円に、被告人加藤静男を懲役一〇月に各処する

ただし、被告人加藤静男に対してはこの裁判の確定する日から三年間右の刑の執行を猶予する

理由

(罪となるべき事実)

被告人有限会社加藤虎之助商店は、栃木市平柳町一丁目三番二二号に本店を置き、繊維製品の割賦販売を業とするもの、被告人加藤静男は、同会社の取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、同被告人は同会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、

第一、昭和四一年二月一日から昭和四二年一月三一日までの事業年度において、所得金額が七一、四八五、〇一四円で、これに対する法人税額が二四、六五〇、〇〇〇円であるのにかかわらず、公表経理上売上の一部を除外して簿外預金を蓄積するなどの不正な行為により所得を秘匿したうえ、昭和四二年三月三一日栃木市本町所在栃木税務署において同税務署長に対し、所得金額が五、五七一、二四三円でこれに対する法人税額は一、六〇六、九九〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて不正の行為により右事業年度の法人税額二三、〇四三、〇〇〇円を免れ、

第二、昭和四二年二月一日から昭和四三年一月三一日までの事業年度において、所得金額が七五、四三三、一六七円で、これに対する法人税額が二六、〇三一、六〇〇円であるのにかかわらず、公表経理上売上の一部を除外して簿外預金を蓄積するなどの不正な行為により所得を秘匿したうえ、昭和四三年三月二五日前記栃木税務署において、同税務署長に対し、所得金額が六、五八三、九五五円でこれに対する法人税額は一、九五六、六五〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて不正の行為により右事業年度の法人税額二四、〇七四、九〇〇円を免れ、

たものである。

(証拠の標目)

一、宇都宮地方法務局栃木支局登記官作成の有限会社加藤虎之助商店の各登記簿謄本(昭和四四年九月二六日付、同四五年九月一九日付)

二、有限会社加藤虎之助商店定款(写)

三、関東信越国税局収税官吏国税査察官朝比奈和三作成の修正貸借対照表勘定明細書(昭和四二年一月三一日付)および同明細書(昭和四三年一月三一日付)

四、国税局収税官吏大蔵事務官朝比奈和三作成の各脱税額計算書(計二通)

五、栃木税務署長大蔵事務官船津一郎作成の同四四年一二月一日付各証明書と題する確定申告書綴(計二通)

六、加藤虎之助、加藤静男の大蔵事務官に対する各質問てん末書(計一九通)

七、加藤静男の検察官に対する供述調書

八、加藤静男作成の関東信越国税局収税官吏大蔵事務官宛の各答申書(計一〇通)

九、被告人加藤静男の当公判廷での供述

(法令の適用)

被告人有限会社加藤虎之助商店の判示各所為は法人税法第一五九条第一項第一六四条第一項に、被告人加藤静男の判示各所為は同法第一五九条第一項に、各該当し、被告人加藤静男については情状により、いずれも所定刑中懲役刑を選択し、本件各所為は刑法第四五条前段の併合罪であるから被告人たる右会社につき同法第四八条第二項法人税法第一五九条第二項を適用して加重した罰金額の範囲内で被告会社を罰金一〇、〇〇〇、〇〇〇円に、被告人加藤静男については、刑法第四七条本文第一〇条により重い判示第二の罪の刑に併合罪の加重をした刑期の範囲内において同被告人を懲役一〇月に処する。ただし情状により刑法第二五条第一項を適用し、この裁判の確定する日から三年間右の刑の執行を猶予する。

よって主文のとおり判決する。

(裁判官 藤本孝夫)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例